Drinkin' HoppysのCD発売のお知らせ
ワールドカップの興奮冷めやらぬ中、スペインやオランダより凄いと評判のジャンプブルース・バンド、Drinkin' HoppysのCD『Domestic Jump Blues!!』が、弱小零細レーベル・こぐまレコードより2010年7月18日に発売されます!また、発売を記念して同日7月18日、吉祥寺STAR PINE'S CAFE´にてレコ発ライブも開催(詳細はページ右部分をご覧ください)!
かねがね地味にご報告してきましたが、発売直前ということでガツンと告知ご紹介させていただく次第であります!梅雨時でなにかと気だるい昨今ではございますが、古来より蒸し暑い時ほど、冷たいものより熱いものを服用した方がよいとされております、皆様のご健康をお祈りする意味でも、こちら出来たてアッツアツのCD『Domestic Jump Blues!!』をお薦めしたい所存であります、何卒宜しくお願いいたします!
Drinkin' Hoppysはこんな人達
【Drinkin' Hoppys 近影】
真剣に「ジャンプブルース・バンドやりたい」というバンマス富山氏(写真中央のどう見てもリーダーっぽいポーズの男)の長年にわたるジャンプブルース布教と執拗なメンバー・スカウティングにより、リズム隊+ホーンセクションのいっちょまえな編成を揃えて活動すること数年。本CDは「評判も調子も上がってきたしここらで一発」という意気込みでレコーディングされた音源であります。
実は演奏聴くまでは、なんでこんな若い子達が自分の親が生まれるより前に流行ったショー・ミュージックに夢中になっているのだろう?と思ったんですが、そんな穿った疑問を抱いた自分の見識を恥じたいぐらいフレッシュなグルーブ!コクとキレのあるサウンド!極東の平成世代がジャンプブルースをやったらこうなった!なるほど!21世紀!って感じです!
イイじゃないですか。ねえ?やっぱりたくさんの楽器でビンビン演奏していただくと賑やかで嬉しいものです。CD発売同日(7月18日)にはレコ発ライブ(詳細はページ右部)もございまして、ジャンプブルース・ファンはもちろん休日を賑やかに過ごしたい方や、景気が悪くて気落ちしている方まで手広く歓待してもらえると思います、皆様に於きましてはCDご購入と併せてご来場いただけると幸いであります。
まあDrinkin' Hoppysのことについては私あと3000字ぐらい推奨文書けそうな感じなのですが、かえって皆様の心象を害しそうなので、ここでビシッと、日本のジャンプブルースといえばこの方を避けては通れないあのお方の!CD発売にあたって頂戴した貴重なコメントを!ご紹介させていただきます↓
吾妻光良大先生のコメント頂きました
すごい!吾妻光良さんと言えばジャンプブルース・バンドの大横綱、日本の真のギターヒーローであり、ブルース評論界の大先達ですよ!不詳私も大ファンでありまして、Drinkin' Hoppysから「吾妻光良さんからコメントいただいちゃいました〜」と聞いた日には正直なところちょっと嫉妬しましたし、「失礼はなかったのか?無理を言ってご本業に差し支えるような真似はなかったのか?」と不安になりましたが、Drinkin' Hoppysからすれば何で私からそんな詰問を受けねばならないのか分からないだろうし、自分も分別はわきまえる年齢になったので「そうなんだ!すごいね!」と爽やかに答えるにとどめました。
まあそんなこちらの内情はどうでもいいですね、貴重なコメントの内容ですよ。「正解は黄色いジャンプだ」というのは一体何なのか?黄色いジャンプ!・・・サッカーのブラジル代表のことかな?しかしブラジル負けちゃったよね、トトカルチョ的にはコレかなり酷い目でさぁ・・・などと忘れてしまいたいことまで思いを巡らすなどして悩むのもまた良し!みんな悩んで大きくなったんだし、なにより吾妻さんが正解だと言うからにはこれが正解なんだよ!ある種、謎めいた風情をも付与されたDrinkin' Hoppys『Domestic Jump Blues!!』、ボチボチ梅雨も明けると思いますので、夏休みのお供に、お盆休み・お墓参りのBGMに、是非是非お買い求め下さい!
バンマス富山氏による「ジャンプ・ブルース小史」
「Drinkin' Hoppysがイイのは分かった!で、そのバンドのジャンル?ジャンプ・ブルース?って何なのよ?」とおっしゃる音楽探究心豊かなアナタのために、バンマス富山氏にお願いして「ジャンプ・ブルース小史」をまとめてもらいました!世の中なんでもWikipediaで調べられると思ったら大間違いだ!Drinkin' Hoppysが気に入ったらコレも聴いてみてネ的な参考資料としてご一読いただけると幸いです!
強烈なホーンリフとアフタービートの効いたリズム、サックスのブロウ、ビックバンドの音圧に拮抗してシャウトするボーカルなどなど、『ジャンプ』という言葉から連想されるのは、あまりにも肉体的なイメージである。マルコムXの自伝によれば、1940年代のボールルーム(舞踏場)では「あたかも気の狂ったように、興奮のあまり飛び跳ねながら踊っている(黒人の)男女」が日常の光景であったようだ。ブルースやブギウギの要素を取り入れて、圧倒的な躍動感と生々しさを身に付けたブラック・スウィング、それこそがジャンプ・ブルースに他ならない。間奏でソロを吹いている仲間に対して「ブロウ!ブロウ!」と叫ぶ男、それに猥雑なソロで応える奏者。こんな音源を耳にするたびに「こいつらは肉とビールしか口にしないに違いない。」と思うのだ。 ジャンプ・ブルースの源泉はカウント・ベイシーやジェイ・マクシャンといった、カンザスシティを中心とする中西部のビックバンドにある。ジャンプサウンドの特徴として先にも挙げた強烈なホーンリフがあるが、こうした部分は30年代のカンザスシティ・ジャズから受け継いだものだ。また、カウント・ベイシー楽団擁するボーカリスト、ジミー・ラッシングはシャウターの元祖。カウント・ベイシー楽団には比較的スウィンギーな演奏が多いが、"Exactly Like You"など初期の録音を聞いてもらえれば、ホーンリフやシャウターについてジャンプ・ブルースの雰囲気をありありと感ぜられるはずだ。
ジャンプ・バンドとして後世への影響力が大きかったのは、シカゴのラッキー・ミリンダー楽団とウェスト・コーストで活躍したライオネル・ハンプトン楽団だろう。ラッキー・ミリンダーは楽器が弾けず譜面も読めなかったらしいが、バンドリーダーとしては凄腕だった。(ルイ・ジョーダンが在籍した楽団のリーダー、チック・ウェッブも譜面が読めなかったようだが、凄腕のドラマーだったのでサウンド面でのリーダシップはとりやすかっただろう。ラッキー・ミリンダーに至っては楽器もできなかったのに…驚きだ。)このラッキー・ミリンダー楽団は、とにかく凄腕のミュージシャンを輩出している。まずは45年に"Who Threw The Whisky In The Well"をヒットさせたワイノニー・ハリス1だ。ジャンプシャウターとして、真っ先にワイノニーの名前を挙げる人も少なくないだろう。ご存知「鋼鉄の喉を持つ男」、Mr.ブルースだ。
先日のこのこと、ワイノニーに関して吾妻氏よりメールを頂戴した。「ご報告」と題されたそのメールの内容は以下のようなものであった。『52年にワイノニーがシンシナティのキングのスタジオで録音していた時のことが伝記に書かれていた。ワイノニー自身は翌日吹き込むことになる、”Married Woman”など4曲ほどのリハを終えて引き揚げようかという頃、隣のスタジオではロイヤルズ、後にミッドナイターズと改名するコーラス・グループが録音中。何だ、何だ、どんな感じだいと、ワイノニーがずけずけとスタジオに入って行くと、良くあるブルース、しかし一箇所サビ付き、という曲を演っている最中。しかし、このサビが何回演っても上手くいかない、という状況になっていることを知り、その場に居たワイノニーが、バカヤロ、そんなもなぁ、こうやって歌うんでい!と一発ガナるとそれがOKテイクになってしまった…』しかも、ご丁寧にその曲(”All Night Long”)のmp3ファイルつき。これは!と思い、早速再生するとこれがまた素晴らしい!ロイヤルズはいわゆるコーラス・グループなのだが、サビでワイノニーが登場して一発シャウトすると、曲のイメージがガラリと変わるのである。(余談だが、昔のレコーディングは何とも大らかな…。)
ラッキー・ミリンダー楽団にはワイノニーの他にも、シスター・ロゼッタ・サ―プ、ブル・ムース・ジャクソン、そして、ディジー・ガレスピーまでもこの楽団に在籍したことがある。ジャンプファンにはお馴染みの面々であろう。
次いでライオネル・ハンプトンであるが、ジャンプ系としては珍しくヴァイブを担当するバンドリーダーであった。しかし、その創り出す音は強烈そのもの、それまでのブラック・スウィングから、よりアフタービートを効かせたR&B色が強いサウンドを生み出した。特筆すべきは、優秀なホンク・テナー(ブロウするテナーサックス奏者)輩出したことだろう。その元祖といわれるのが、イリノイ・ジャケー2だ。ジャケーのソロがたっぷりと堪能できる”Flying Home”はジャンプ史に燦然と輝く名曲。同様にそのスタイルを晩年まで貫いたアーネット・コブも、ホンカーの走りとして重要である。さらに、ジャンプ&ジャイブファンならジャック・マクヴィ3を挙げるだろう。ルイ・ジョーダンも取上げた”Open The Door Richard”はこの人の曲。ボーカリストでは”boogie woogie Santa Claus”でお馴染みのサニー・パーカーや、若き日のダイナ・ワシントンも在籍していた。44年のヒットである”Hey! Ba-Ba-Re-Bop”はR&Bチャートで1位を獲得したハンプトン楽団の代表曲だが、コール&レスポンスの勢い、間奏を高音で攻める管楽器、ビートの効いた演奏にR&Bの幕開けを感ずることができる。
4いろいろありますがリンク先(Amazon)で音源聴けたのでコレ選びました、便利な時代です
こうしたジャンプ・バンドはビックバンド編成であったが、これを逸早くスモールコンボ化したのがルイ・ジョーダン4である。自身のバンドであるティンパニー・ファイブ(ファイブとはいっても必ずしも5人でなかったというのは、有名な話。ベードラにルイ・ジョーダン&‘T6’と書いてある写真もある。)には、通常2~3本の管楽器しかいなかったが、ホーンリフやバンド全体にジャンプの要素をギュッとつめこんで「ブルースをジャンプさせた」のである。ルイ・ジョーダンについて書き始めると終わらないのでそろそろ擱筆とするが、この拙文がジャンプ・ブルースのさわりのさわりでしかないことを断っておきたい。何はともあれ、これからジャンプ・ブルースを聴いてみようという人の助けになれば幸である。
富山氏、ありがとうございました!正直こんなにミッチリ寄稿してくれるとは思わなかった!
その他、情報
追って掲載する情報などあれば随時対応予定です!よろしくお願い致します!よろしくお願い致します!
白か?黒か?正解は黄色いジャンプだと。
好きな方には堪らない筈。
by 吾妻光良氏 (吾妻光良&The Swinging Boppers)